シックハウス症候群
シックハウス症候群とは、家屋などの建物の建設や家具の製造の際に使用される防腐剤や接着剤から発生するホルムアルデヒド,トルエン,キシレン等のVOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)や、ハウスダストなどが漂う室内空気を吸引することによって、様々な体調不良が生じる症状です。
しかし、個人の化学物質への抵抗性によって症状が異なるなど、原因を特定することは難しいのが現状です。
- 世界保健機構(WHO)におけるシックビルディング症候群の診断基準
- (1)目、鼻、のどの刺激症状、粘膜の乾燥感
- (2)皮膚の紅斑、かゆみ
- (3)疲れやすさ、頭痛、精神的疲労、集中力の低下、めまい、吐き気
- (4)臭覚、味覚の異常
- (5)過敏症の反応(分泌亢進など)
VOC(揮発性有機化合物)
VOC(揮発性有機化合物)は現在までに約900種類が確認されています。
■WHOによるVOC分類法
| 沸点 | 名称 | VOCの例と沸点 |
|---|---|---|
| 〜 50℃ | 高揮発性有機化合物 (VVOC) |
ホルムアルデヒド (-21℃) メチルメルカプタン (6℃) アセトアルデヒド (20℃) |
| 50℃ 〜 260℃ | 揮発性有機化合物 (VOC) |
酢酸エチル (77℃) ベンゼン (80℃) メチルエチルケトン (80℃) トルエン (110℃) トリクロロエタン (113℃) キシレン (140℃) |
| 260℃ 〜 400℃ | 半揮発性有機化合物 (SVOC) |
クロルピリホス (290℃) フタル酸ジ-n-ブチル (340℃) フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(390℃) |
| 400℃ 〜 | 粒子状有機物質 (POM) |
PCBベンゾピレン |
厚生労働省の指針値
国(厚生労働省)は1997年に室内濃度指針値を発表し、ガイドライン第1号にホルムアルデヒドを指定しました。
その後、室内濃度指針値が順次追加されるとともに、他省庁による規定・通達が出されています。
■WHOによるVOC分類法
| 化学物質 | 指針値 | 主な発生源 | |
|---|---|---|---|
| μg/m3 | ppm | ||
| ホルムアルデヒド | 100 | 0.08 | 建材等に使われる接着剤や防腐材 |
| アセトアルデヒド | 48 | 0.03 | 防腐材、たばこの煙等に含まれ、アルコールの酸化によるもの |
| トルエン | 260 | 0.07 | 接着剤や塗料の溶剤・希釈剤、ガソリン |
| キシレン | 870 | 0.2 | 合板の塗装、カーテンの難燃剤として使用される塗料溶剤 |
| パラジクロロベンゼン | 240 | 0.04 | 衣類用防虫剤、トイレの芳香剤等 |
| エチルベンゼン | 3800 | 0.88 | 一般塗料や合板等の難燃剤 |
| スチレン | 220 | 0.05 | 樹脂や合成ゴムに含まれ、断熱材等 |
| クロルピリホス | 1 | 0.07(ppb)小児は0.007(ppb) | 防蟻剤 |
| フタル酸ジ-n-ブチル | 220 | 0.02 | 顔料や塗料、接着剤 |
| テトラデカン | 330 | 0.04 | 石油、灯油に含まれる炭化水素の一種 |
| フタル酸ジ-2-エチルヘキシル | 120 | 7.6(ppb) | 壁紙、床材、各種フィルム等の可塑剤 |
| ダイアジノン | 0.29 | 0.2(ppb) | 有機リン系の殺虫剤の有効成分 |
| フェノブカルブ | 33 | 3.8(ppb) | カーバーメート系の害虫駆除剤、防蟻剤 |
| 総揮発性有機化合物量(TVOC) | 暫定目標値400μg/m3 | 国内の室内VOC実態調査の結果から、合理的に達成可能な限り低い範囲で決定 | |
測定対象の概要及び法規等
1・文部科学省
学校
・規定又は通達:「学校環境衛生の基準」
・測定対象項目:ホルムアルデヒド、トルエン、必要に応じてキシレン、パラジクロロベンゼン、エチルベンゼン、スチレン
※定期検査は原則年1回夏季に行い、新たな学校用備品の搬入、新築・改築・改修等を行った際には、臨時に検査を行います。
2・国土交通省
公営住宅
・規定又は通達:「公営住宅における性能表示及び化学物質の室内濃度の実施について」
・測定対象項目:ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン
※公営住宅において、新築または大規模な改築工事を行った場合
公共建築物
・規定又は通達:「ホルムアルデヒド等の室内空気中の化学物質の促成に関する措置について」
・測定対象項目:ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン
※国及び各地方整備局が発注した新設又は改修を行った施設(学校及び公共住宅は除く)
住宅性能表示
・規定又は通達:「日本住宅性能表示基準」
・測定対象項目:ホルムアルデヒド、必要に応じてトルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン
※「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づいて住宅性能表示を行う場合
3・厚生労働省
特定建築物
・規定又は通達:「建築物環境衛生管理基準」
・測定対象項目:ホルムアルデヒド
※ビル管理法でいう特定建築物において、建築、大規模な修繕・模様替えを行った場合、最初の6月〜9月に測定
を行います。
職域
・規定又は通達:「職域における屋内空気中のホルムアルデヒド濃度低減のためのガイドライン」
・測定対象項目:ホルムアルデヒド
※職域において屋内空気中にホルムアルデヒド蒸気が飛散している恐れがある場合に行います。
測定(採取・分析)方法
| 厚生労働省 | 国土交通省 | 文部科学省 | |
|---|---|---|---|
| 測定方法 | 吸引方式(アクティブ) | 拡散方式(パッシブ) | 吸引方式(アクティブ) 拡散方式(パッシブ) |
| 採取場所 | 室内および外気 | 室内 | アクティブ…教室内および外気 パッシブ…教室内 |
| 採取条件 | 30分間換気5時間以上閉鎖 | ||
| 測定位置 | 床上1.2m〜1.5m | ||
| 採取時間 | 30分間(2重測定) | 通常24時間 | アクティブ…30分間 (2重測定) パッシブ…8時間以上 |
| 分析方法 | アルデヒド類 ・DNPH誘導体化固相吸着/溶媒抽出−高速液体クロマトグラフ法 その他VOC(トルエン,キシレン等) ・固相吸着/溶媒抽出法−ガスクロマトグラフ/質量分析法 |
||
| 評 価 | 厚生労働省の指針値以下 | ||
| 備 考 | 指針値超の場合、必ず換気による濃度低減効果を測定 | 指針値超の場合、換気の励行と原因の究明、汚染物質発生を低くするなどの措置 | |
シックハウス測定
新築住宅において化学物質過敏症による喘息、皮膚炎等の被害が報告されています。
厚生労働省、文部科学省、国土交通省などにおいて基準が定められています。
各管轄省庁別のシックハウス測定(概要)
| 管轄省庁 | 測定物質名 | 採取方法 | 採取場所 | 試料数 | 採取条件 |
|---|---|---|---|---|---|
| 厚生労働省 | 1.ホルムアルデヒド 2.トルエン 3.キシレン 4.パラジクロロベンゼン |
標準的測定方法 (アクティブ法) |
・室内(居間・寝室)2ヶ所 ・外気1ヶ所 (2重測定実施) |
6 | 新築住宅 (30分間採取) |
| 6 | 居住住宅 (24時間採取) |
||||
| 文部科学省 | 1.ホルムアルデヒド 2.トルエン 3.キシレン 4.パラジクロロベンゼン 5.エチルベンゼン 6.スチレン ※H16.02.10に5・6の2物質追加 |
標準的測定方法(アクティブ法) | ・教室内1ヶ所 ・外 気1ヶ所 (2重測定実施) |
4 | ・新築 ・改築 ・改修時 ・定期検査 (30分間採取) |
| 拡 散 法 (パッシブ法) |
・教室内1ヶ所 (外気は不要) |
1 | ・新築 ・改築 ・改修時 ・定期検査 (8〜24時間採取) |
||
| 国土交通省 | 1.ホルムアルデヒト
゙ 2.トルエン 3.キシレン 4.エチルベンゼン 5.スチレン |
拡 散 法 (パッシブ法) |
・室内1ヶ所 (外気は不要) |
1 | ・新築・改築 ・改修時 (通常24時間採取) |
注意:
1・採取場所(測定点数)は依頼者により増減することがあります。
- 〇A:学校の新築等…5教室以上/校
- 〇B:公営住宅の新築等…建設戸数の1割で2室以上/各戸
- 〇C:ビル管理法等…1室/階
2・試料採取の前に「30分間換気および5時間以上閉鎖」の作業が必要ですが、通常この作業は依頼者にて行っていただきます。
- 1)クティブ法の場合 : 通常測定当日の朝に30分間換気後, 5時間以上閉鎖
- 2)パッシブ法の場合 : 通常測定前日の夕方30分間換気後, 5時間以上閉鎖
測定風景
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| 室内測定風景 | ホルムアルデヒド分析の前処理 |
|---|---|
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| ホルムアルデヒドの分析(HPLC) | トルエン等(VOC)の分析(GC-MS) |











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